修道院の窓から

“いのち”を考える

ここ数年、夏は秋田の聖霊女子短期大学から女性論の講話をするよう依頼を受けます。始めは思考錯誤で様々なテーマを盛り込みましたが、学生と先生がたの感想を参考に徐々に、自分らしい方向性を見出したように感じています。

私自身が女性性、母性に関る仕事についているので、長い経験のなかで様々な体験をさせていただき、失敗やチャレンジ、それらの学びを通して自分自身の奉仕する方法、心構えも少しずつ変化させられました。特に過去 15 年間は、自分の心の中に記憶するだけでなく、たくさんの写真映像を残すようになりました。

撮影許可、使用許可をいただいた母子関係の映像を効果的に使用することで、より明確にメッセージを伝え、学習の助けとすることができます。

今年はどんなプレゼンテーションにしようか…と頭の中で何カ月もぐるぐる考えていました。“願えば叶えられる”の聖句どおり、霊がささやいてくれたようでした。

それは 30 年前に名古屋の病院で出産を機に、子育ての喜びや大変さを途切れることなく分かち合ってくださり、その長男お子様もクリスマスには今でも欠かさずにカードをおくってくださるH・Kさんと傑君のことでした。傑君は昨年めでたく結婚されました。H・Kさんは傑君の成長過程を写真にして送ってくださっていたので、お二人の許可のもと、傑君の誕生のときから結婚までをミニアルバムとして提示することにしました。七五三祝いの傑君の周りには両家の両親とその両親が写っています。長じて傑君の結婚式には、両家の両親と花嫁さんの両親が加わっています。

創世記 2 章が結婚の意味について述べるように“男は父母をはなれて、妻と一体となる”がよくわかる材料になりました。

学生たちの感想の中に「傑君とパートナーの様子が羨ましかった。自分を大切にして生きたい。そして、アガペの愛が分かち合えるパートナーと巡り合うまで、自分の女性性を大切に成長させていきたい」と書いていた学生がいたことがとても嬉しかったです。

わたしたち一人一人は両親から 25,000 個の遺伝子を受け継ぎましたが、そのまた両親の遺伝子も受け継いで、20 代さかのぼれば 100 万人の先祖たちから命を受け継いでいるといわれます。逆に考えればこうして一人の命が永遠に生きるとも言えるのではないでしょうか。いのちについてまた新しい気づきをいただきました。

2015 年 7 月