修道院の窓から

ふしぎな木の正体

私どもの小さな庭には四季折々に色とりどりの花が咲く他、囲いとしても潅木(かんぼく)が植え込んであり、びわといちじくの実のなる木も数本あります。

2009 年の夏、さざんかの生垣の横に紛れて生えていた木が突然注目を浴びることになりました。

毎年庭の手入れに来る造園業者が「これはどうしますか?」とひょろひょろの木の扱いを尋ね、シスターは「何の木かわからないけど、まあそのままにして置いてください。」と言って生き延びていた木がいつの間にか 5m ほどの高い木に成長していたのです。そしておよそ 20 年の間で初めて白い花が咲いたのです。何か実をつけるのでないか?と皆の期待が膨らみました。誰も植えた記憶もないのです。おそらく、捨てた種がゆっくり成長したのでしょう。夏が過ぎると花であった部分が緑の塊になり、徐々に大きく膨らむではありませんか!秋にはどんどん大きな緑のボールになっていきました。何だろう、何だろうと楽しみにしていましたが、かんきつ類であることが確かになりました。そして少しずつ黄色に変色しました。かなり大きな実で、夏みかんのようでもあり八朔のようでもありました。しかし、「長い間木で熟させ収穫し、1 ヶ月くらい寝かせてから食べる」という情報しか持たない私たちでした。

12 月の中ごろに雪が降ってしまい、温かい地方で育つはずのかんきつ類が雪をかぶっているのはちょっとかわいそうな光景でしたので、収穫時期と定め脚立にのり、はさみで収穫しました。数は 12 個、聖書学的に完全な数字で、姉妹の数も 12 名、神様のプレゼントはなんと完全なのでしょう!

大事にダンボールに収め 1 ヶ月を経過して食卓に出てきました。味は思った以上に甘く立派な八朔であることが判明しました。私たちが購入するものより大きさも見た目も立派なので夏みかんのように見えたのです。

その後、やはり雪国には適応できない幹なのか、どか雪の重みで太い枝が折れましたが、また今年も実がなるといいね・・・と期待が高まります。

それにしても石川ではっさくが実るなんてことがあるのでしょうか?柚子・きんかんはよく見るけど、温暖化のせい?聖書のイチジクは 3 年実をつけないので切り倒してしまえといわれているけれども、20 年も土地ふさぎといわずに生かしてもらったことへの恩返しで実をつけたのでしょうか?でも神様は 20 年どころか私たちの一生を通して、何か実を結ぶことを忍耐しておられるのですね。

2010 年 2 月