神の御前では皆等しく愛されている

24. ものは言いよう

あるスルタンが、歯を全部失った夢を見た。目覚めてすぐに賢者を一人呼び、夢を判断するよう命じた。

「何と不幸なことでありましょう、陛下! 歯が一本一本抜け落ちて行くのは、 陛下のお身内がひとりひとりお亡くなりになることを意味しています」と賢者は言った。スルタンはかんかんに怒って叫んだ。 「何という無礼者! よくもそんなことがこのわしに言えるな。出て行け! 100回のむち打ち刑じゃ!」

それから、スルタンは別の賢者を連れて来させ、もう一度、夢で見たことを彼に話した。今度の賢者は 注意深くスルタンのことばを聴いたあと、こう言った。

「すばらしいことでございます! 陛下には、大いなる幸福が待ち受けています。夢が意味するところでは、 陛下のすべてのお身内の中で、陛下だけがただおひとり、生き残られるお方だからです」。スルタンは大きく 微笑んで顔を輝かせ、金貨100枚を与えるよう家来に命じた。

賢者が宮殿を去るとき、廷臣のひとりが感嘆して尋ねた。「あり得ません。あなたの夢判断は最初の方と まったく同じですよ。それなのに、最初の方にはむち打ち100回、あなたには金貨100枚。これは理解できません」。

賢者は答えた。「友よ、すべてはものの言い方です。言い方を習得することは、 およそ、人間の最も大切な課題のひとつでありましょう。幸福になるか不幸になるか、平和になるか戦争になるか、 それは、たいていはものの言い方によります。真実は宝石に似ているかもしれません。だれかの顔に投げて ぶつけると傷つきますが、細やかな心づかいでそっとくるむなら、きっと受け取ってくれるはずです」。

【聖書から】

いつも、塩で味付けされた快い言葉で語りなさい。 そうすれば、
一人一人にどう答えるべきかが分かるでしょう。(コロサイ4:6)