神の御前では皆等しく愛されている

19. 告げ口する前に

ある賢者の家に若い弟子がやって来て言った。「あのう、先生、先生のお友だちが先生のことを悪く言っていました…」

「待ちなさい」と、賢者はさえぎった。「おまえはいま話そうとしていることを、三つのふるいにかけたかね?」

「三つのふるいですって?」「そうだ。第一のふるいは、真実だ。私に告げようとしていることが絶対に真実だと確信 できるかね?」「…。いいえ。近所の人たちがそう話しているのを聞いたのです」。

「おまえは、少なくとも二つ目のふるいにはかけただろうね。それは、良いことかどうかだ。おまえが わたしに告げたいことは、だれかにとって良いことなのかね?」「いいえ。実のところ…、ちがいます。その逆です」。

「おやおや、何とまあ! 三つ目のふるいは必要性だ。 お前がそんなに心配していることは、わたしに知らせる必要の あることなのかね?」「本当のことを言うと…、ありません」。「それでは」と、賢者はほほえんで言った。「真実でもなく、 良いことでもなく、必要でもないのなら、もう忘れることだ」。

【聖書から】

「人から出て来るものこそ、人を汚す。中から、つまり人間の心から、悪い思いが出て来るからである。…」 (マルコ7:20-21)