神の御前では皆等しく愛されている

12. 兄弟愛のオリンピックス

 これは、何年か前にシアトルで開催されたスペシャルオリンピックスの競技中の話である。

 知的発達障害を持つ選手が9人、100ヤード走のスタートラインに立っていた。ピストルの合図とともに、ダッシュとは言えない速度ながら、全員がゴールを目指して走り出した。すると、そのうちのひとりがつまずいて転び、もんどり打って泣き出してしまった。

 他の8人はその泣き声を聞いて足をゆるめ、うしろを振り返った。そして、観衆が驚いたことに、全員が転んだ選手を世話するために引き返したのである。ダウン症の少女はしゃがみ込み、転んだ選手にキスをして言った。「さあ、これで元気が出るわ」。それから9人は腕を組んで全員いっしょにゴールラインまで歩いた。

 スタンドの観衆は全員総立ちになり、長いこと熱狂的な拍手をやめなかった。スペシャルオリンピックス史上、こんなにも感動的で、こんなにも気高い人間性を示した競技はなかった。そこに居合わせた人々は、今もなおこのことを語り続けている。

 彼ら「知恵遅れ」の兄弟たちは、どんなに大切なものを教えてくれることだろう!

【聖書から】

 そのとき、イエスはこう言われた。「天地の主である父よ、あなたを誉めたたえます。これらのことを知恵ある者や賢い者には隠して、幼子のような者たちにお示しになったからです。」(マタイ 11:25)