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暦で見る「クリスマス」

 11月も半ばを過ぎると、街のあちらこちらがクリスマスカラーに染まっていきます。
 勿論、クリスマス本番はまだ一ヶ月以上も先。これはクリスマス商戦を戦い抜くための企業や商店の戦略の一つですが、実はキリスト教でも同じ様な時期からクリスマスを迎える為の期間に入ります。
 「待降節」と呼ばれるこの期間は、文字通り「キリストの誕生(降誕)を待つ(迎える)為の準備期間」のこと。「アドベント(Advent)」という名称で耳にしたことがある方もおられるかもしれませんね。
 待降節は、クリスマス前より4回前の日曜日から始まります。そしてキリスト教の暦(教会暦といいます。カトリックなどの西方教会と正教などの東方教会では内容が若干異なりますので、ここではカトリックにおける教会暦を使用します)においては、この日が一年の最初の日となります。今年は11月29日がその日に当たります。
 ヨーロッパなどでは、待降節に入ると商店だけではなく、街のあちこちでクリスマスの準備を始めます。アドベントリースやアドベントカレンダーが用意されるのもこの頃。ドイツのシュトレンのように、待降節の時にだけ登場するお菓子もあります。
 このように、準備期間のあるクリスマスですが、それではクリスマス本番、つまり12月25日(「主の降誕」)以降はどのようなことになるのでしょうか。
年末年始に海外旅行へ行かれた方の中には、クリスマスが済んだにもかかわらず空港や商店(勿論教会もです)に、クリスマスの飾り付けがなされたままなのを目にしたことのある方もいらっしゃるでしょう。そうです。12月25日が済んでもクリスマスは終わらないのです。
「主の降誕」の後は「降誕節」と言い、キリストの誕生を祝う期間に入ります。この降誕節は東方三博士がお生まれになったキリストのもとに礼拝のため訪れた「主の公現」(原則1月6日。日本等では1月2日から8日までの間の日曜日)を経て「主の洗礼」の祝日まで続きます。
 つまり教会暦においては、お正月の期間の大半が降誕節と重なることになるわけですね。そしてクリスマスの飾りは、降誕節が終わってから漸く取り外されます。
 年末年始の慌ただしい時期も、キリスト教においては主の降誕を待ち望み、喜び祝う最も大切な期間の一つなのです。