神の御前では皆等しく愛されている

07. あなたのいいところ

 「クラスみんなの名前を一人ずつ書いて、その人の一番いいところを横に書きなさい」。ある日、先生が生徒たちにこう言った。

 その週末、先生は受け持ちの生徒全員の名前を別々の紙に書き、生徒たちが書いたその子の一番いいところを全部書き写した。このリストは、月曜日にそれぞれの生徒に渡された。

 渡された途端、クラスじゅうが微笑んだ。「へえ、ほんとかよ?」先生は、だれかがそうつぶやくのを聞いた。「全然知らなかった、ぼくがだれかにとって意味があるなんて」。「わたし、クラスのみんなにこんなに好かれてたんだ…」。みんなそれぞれに感動を口にした。

 何年か後、生徒のひとりがベトナムで戦死し、先生は葬儀に参列した。教会には同級生が集まっていた。棺のところへ行ったのは先生が最後だった。 

 棺をガードしていた兵士のひとりが先生に近づいて来てたずねた。「マルコスの先生でいらっしゃいますか?」「ええ」。「マルコスは先生のことをよく話していました」。

 葬儀の後、同級生のほとんどが、マルコスの両親と先生とともに会食した。父親は財布をひとつ取り出して先生に言った。「お見せしたいものがあるのです。マルコスの服に入っていました。先生は見覚えがおありでしょう」。彼は財布を開け、すり切れてぼろぼろになった一枚の紙切れを注意深く取り出した。

 それは、同級生たちが書いたマルコスのいちばんいいところを先生が全部書き写した、あのリストだった。

 母親は言った。「先生がなさってくださったおかげで、ごらんのようにマルコスはこれを宝物のように大事に持っておりました」。

 マルコスの同級生たちが回りに寄って来た。カルロスは微笑み、おずおずと言った。「実は、ぼくもまだリストを持ってるんだ」。フェリペの妻は言った。「わたしはフェリペに言われて結婚アルバムにそれを貼ったわ」。「ぼくも持ってるよ」と、別の同級生が言った。ビクトリアはバッグから財布を取り出すと、すり切れてしわくちゃのリストをみんなに見せた。「ほら、わたしはいつも持ち歩いているの」。

 先生は座って泣いた。一枚の紙切れに書かれた単純な愛情の言葉が、こんなにも大切なものになり得るとは…。

 やさしい言葉、支える言葉、赦す言葉、励ます言葉…、それらは絶大な力を持っています。もし、そんな言葉をかけてやる値打ちのない人間もいると言うのなら、イエスが十字架上からどんなに深い憐れみをもって私たちを見つめられたか、思い出してください。人の中にある良いものを引き出す方法を教えてくださいとイエスに頼みましょう。人は、イエスとともにいるだけでそこから実を結び始めることができます。すべての人のために祈り、人の良いところを言ってあげましょう。あなたはイエスの道具になります。今すぐそうしてください。遅すぎないうちに。

【聖書から】

 神が私たちをこのように愛してくださるのだから、私たちも、互いに愛し合わなければならない。(Iヨハネ4:11)