お盆によせて
お盆のシーズンに入りました。
皆が墓参りをして、亡くなった近親者のために祈りをささげています。このような“死者との心の交わり”が大切にされるべきものだと思います。お盆のこの時期を契機に、カトリック教会で行われている“死者との心の交わり”を紹介することにしました。
まず、誤解を避けるために“死者との心の交わり”の意味を確認したいと思います。キリスト教で言われる“死者との心の交わり”は“霊媒による交わり”などを意味していないということです。カトリック教会は、その初期の時代から、深い敬愛の念をもって死者の記念を行ってきました。
死者のこの記念と尊敬は、死者のために神に祈ることが中心となっています。祈りは自分の身内、親類、その他関係のあった人たちのためにささげるのは当然ですが、カトリック教会では、この世で私たちと縁の無かったすべての死者のためにいのることも大切にされてきました。ミサのなかで、すべての死者のために毎日いのりがささげられています。また特定の死者のために依頼があれば、依頼者の意向に従って個別に“追悼ミサ”がとりおこなわれます。その上、毎年11月は“死者の月”と呼ばれ、毎日死者のために特別の祈りがあります。また11月2日のすべてのミサが死者のために捧げられます。さらに、みんなで墓参りをして、墓地でミサをささげてから、すべての墓を個別に祝別します。この“合同慰霊祭”は、カトリック金沢教会では毎年11月3日にとりおこなわれています。
その上、カトリック教会はそれぞれの国の習慣を適切に取り入れ、その地域の人たちと同じ時期にも死者の記念を行っています。カトリック金沢教会において、年ごとに7月15日晩7時からとりおこなわれている“お盆追悼ミサ”はその一例です。このミサの中で祈ってもらいたい死者(宗教を問わず)の名前を事前に知らせておけば、その方のためにもミサがささげられます。もちろん祈りを依頼した方もできるだけ一緒に集まって、皆でそのミサをささげることが望ましいことです。
最後に、死者のために祈ることを励ます聖書のことばを聴きましょう。
『(ユダは)敬虔な心を抱いて、眠りについた人々のために備えられている素晴らしい恵みに目を留めていた。その思いはまことに宗教的、かつ敬虔なものであった。そういうわけで、彼は死者が罪から解かれるよう彼らのために贖いのいけにえを献げたのである』 (マカバイU,12,45)